8歳のミニチュアダックスフントのトロンを飼っている。ミニチュアとは名ばかりで、スタンダード並に体重9キロ。顔も長く、リトリバーの子犬と間違えられたこともある。「トトとマロンの子どもだからトロンがいい」と娘が言い、私は世界初のCG映画『トロン』が好きで、コンピュータの『トロン』も掛けて、「いいんじゃない?」と、名前が決まった。
彼と毎朝、近くの公園に散歩に出かける。天気の良い日も、雨の日も、たとえ台風でも。娘が行くという約束はすぐに反故にされ、私の仕事に。めんどうだと思うこともあるが、トロンが楽しそうにしている様子を見ると「行こうか!」と思う。近くの公園を一周するだけだけれど、犬の散歩がなかったら知らなかっただろうことを知ることができる。
一番は、なんといっても肌で感じる四季の移ろい。空気、空の色、におい、植物、土の感触・・・。何年か前、通りがかりのおじさんに「酔芙蓉(すいふよう)が咲いてるよ」と教えてもらった。調べると、一日花で、朝に開いたときは白く、すぐに赤く変わる。酔っ払うみたいだからかと楽しくなる。せせらぎの横に一本だけあるその木が花咲くのを毎年楽しみにしている。
せせらぎにはホタルがいる。これも朝の散歩のとき、「夜7時ごろがいいよ」と、たぶんボランティアで公園の草花の手入れをしているおじさんに教えてもらった。噂では、数年前にそのおじさんがゲンジボタルとヒメホタルの幼虫を放したら、幸いなことにホタルの好物のニイ貝がたくさんいて、繁殖したとのこと。都会の決して水質がいいとは言い難い公園なのにね。
数年前から、公園にはアジサイがいっぱい植えられるようになった。そして、ここ1、2年はアジサイの手入れをする人たちの姿も見かけるようになった。晴れの日が続くと水をやり、花が終わった後は花先をカットしている。区役所の人の呼びかけの成果かな?日曜日に掃除をしているボランティアグループもいる。きちんと手が入れられていると感じる公園には愛着が湧く。
せめて私たち犬の散歩をする者は、ゴミを拾うことにしている(と思う。ゴミを拾っている人が多いから)。鳩に餌をやるおばあさんに注意し、ウンチをそのままにして行く人にも注意する。犬の散歩仲間は頼もしい。トロンが吠えなければ、もっと仲良くなれるのに。

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