土地と建設費1億円の寄付
所属する「NPO平和のための戦争メモリアルセンター建設準備会」が、名古屋市名東区に「戦争と平和の資料館(仮称)」を建設することになった。開館目標は来年5月。
発端は、去年開いた「平和のための戦争資料館展」の報道でわがNPOの存在を知った一人の女性が事務局にかけてきた電話だった。
「なかなか戦争資料館ができないそうだね。土地300uと建設資金1億円なら寄付してもいいけど」と。
その時、会場のお当番をしていた私は、話を聞いてびっくり。半信半疑だったが、展覧会の期間中にその方が来てくれて、さっそく名東区の土地を見に行くという早さで事態は進展していった。
自分たちで建築・運営を決める
私たちのNPOは、行政に、後々まで伝えていくことが可能な戦争資料館の建設を訴えてきた。自身で資料館を建てるという発想はなかったのだ。そこで、市と県に「こういう寄付の申し出があるが、それで資料館を建設してもらえないか」とお願いした。しかし、場所や面積などかネックになって、建設できないという回答が返ってきた。
それから、さていろいろ議論をして、議論をして、先行的に自分たちで建設して運営するという方針を決めた。
当時は、戦争に関してもっと勉強しようということで、各自がテーマを選び、勉強して発表するということを始めたばかりだった。私は「徴兵制」をテーマに選び、ぼつぼつ資料を集めて・・・なんていう時だったが、それどころではなくなった。
決めなくてはならないことが山ほどあった。どんな内容の資料館にするか、建物はどうするか、どうやって運営するか、維持費は確保できるのかなどなど。行きつ戻りつ、右へ左へ、とにかく走り出して、走りながら考えている、といったところか。
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外観イメージパース |
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開かれた交流の場がいいな。
資料館は、開かれた交流の場にしようということになった。訪れた人たちが互いに話をしたり、展示を見て考えて、自分もなにかしようと思ったり、映画会をしたり、さまざまな講座や展覧会や勉強会を企画したり。そんなことを考えると楽しくなってくる。
建物は明るくて、多少ゴチャゴチャしていてもいいから、居心地の良いものがいい。子どもたちが座り込んで絵を描いたり、本を読んだりできるような雰囲気もいいな。それと、維持費がかからないことも大切・・・。
思いは膨らむが、会員一人ひとりのこんな思いをまとめて一つの形にするのはたいへんだ。藤川原設計の原宏さんに協力していただいて、何とか形にまとめ上げた。それからは、設計をお願いすることになった堀内建築研究所の中澤賢一さんと会員の建築プロジェクトチームで検討し、ようやくまとめてもらった。これから建設会社を決め、7月には着工の予定だ。
「愛知の空襲」勉強中
私は広報プロジェクトチームで、「建設ニュース」の発行に関わっているほか(ニュースを読んでみたいという方、お知らせください。)、展示部門では「愛知の空襲」班で展示内容の検討、というか勉強をさせてもらっている。
たとえば、よく目にする名古屋城炎上の写真。昭和20年5月14日に名古屋空襲では最高の440機の飛行機がやってきて焼夷弾を落としたときのものだが、時間は午前8時。炎と黒煙で、まるで夜のようにみえるのだった。どんなに凄まじい勢いで町が焼かれたか。
また、最近明らかになった米軍の資料から、米軍がどれほど詳細なデータによって綿密な作戦を立て、淡々とそれを実行したかがわかる。終戦の前日、8月14日には、春日井市の鳥居松に原爆の模擬爆弾まで落としているのだ。
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燃える名古屋城 (中日新聞「空襲の記録」から) |
私は、父と母が幼い頃に戦争を体験している世代だ。そして、かわいい我が子の時代に「戦争がある」という事態は避けたいと思っている。そのために自分のできることをしようとNPOで活動しているわけだが、我ながら「本当に何も知らないなあ」と思うことしきり。そして知ると、ますます怖くなる。 (赤澤)
■3000万円を目標に開設のための寄付を募っています。
郵便振替口座 00830-8-13084
特定非営利活動法人平和のための戦争メモリアルセンター設立準備会
銀行口座 三菱東京UFJ銀行名古屋市役所出張所
普通預金 3530183
戦争と平和の資料館

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