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『名古屋平成中村座』との忘れがたい時間

 「平成中村座のトイレは参加型で〜す。何番に呼ばれるかドキドキしながら待っててくださ〜い!」と作務衣姿で元気な声を張り上げるスタッフのお姉さん。ずらりと並んだトイレ待ちの列をあざやかに仕切る姿に、しばし見とれた。

 仮設トイレは一〜四番まで数字の書かれた4部屋に分かれ、中に5つずつある。各部屋付担当のお姉さんがいて、「はい、1番空きました!」「3番2つ空きました!」と、持ち場の状況をすばやく読んで仕切役のお姉さんに向かって手を挙げると、「はい、ではあなた、3番へ!次の方は1番へ。ちゃっちゃと進んでくださいね〜。トイレから出たら、次の方のために、扉は半分開けておいてくださ〜い」と、仕切役のお姉さん、実にスムーズにトイレへと送り出してくれるのだ。なにやら出番を待つ役者のように、ちょっとした集中力と緊張感を味わいつつ、ことをすませたあとには、この空間に流れる活気あるリズムに乗れたことに、ほっと胸をなでおろしたのだった。

 さて、9月、名古屋城の二之丸広場に、江戸時代さながらの芝居小屋を再現して、歌舞伎を上演したのは、中村勘三郎率いる、平成中村座だ。まさに、トイレに象徴されるように?参加型、一体型の熱気溢れる舞台だった。いつもは歌舞伎を鑑賞する、というかしこまった姿勢なのだが、役者と観客の壁を取っ払ったこの舞台は、自由でおおらか、時折爆笑も起きる型破りなもの。花道を観客とアイコンタクトしながら歩き、しゃがんで子どもに話しかけたり、突然、見物席に現れて驚かせたり。イヤホンガイドを聴いている観客に、「そんなもの聴かなくてもわかるでしょ!」とイヤホンをはずしたり・・・、とサービス精神旺盛。役者と観客が共有したあの時間と空間は、思い出してもなんともウキウキと楽しく、しばらく忘れられそうもない。

 終幕、舞台の奥が開け放たれ、名古屋城の石垣と木々が借景として現れ、役者が花吹雪の激しく舞う中に立つ光景は、夢のように美しく焼き付いている。

(浦沢)


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