「長い間心配かけましたが、ようやく結婚できます」と、20年来の親友が、照れながらも神妙に報告してきたのは、今年の春。そして秋、付き合って1年になる彼と、彼女は人生の晴れ舞台に立った。
純白のシンプルなドレスがよく似合って、彼と微笑みを交わす姿は、長い付き合いだけどこんなに幸せそうな彼女は初めて見たなあと、なんだか涙腺がゆるんでゆるんで仕方なかった。
友人で集まるたび、「いいなと思う人はみんなもう結婚してるんだよねぇ〜」と言う彼女に、「これからは年下の時代だよ!」とはやし立てつつ、心から幸せを願っていた私たち。でもそんな縁もなかなか転がっておらず、長年が過ぎていた。ところが一念発起して、名古屋から東京に転勤したとたん、そんな縁が待ち受けていた。そして選んだ相手は、7歳年下・・・!
披露宴で、名古屋の友人3人は一言ずつスピーチを頼まれた。「年の話と涙は禁句ね」と約束した。ごく親しい人たちが招待されたなごやかな雰囲気の宴席で、ご両親や親戚の方々がビール片手に次々と挨拶にきてくれて、私たちは酒席のように陽気に飲んでいた。そしておとずれたスピーチタイム。かなり酔いが回っていたと思う。突然涙を流してスピーチする一人目、年の差ネタを連発し失笑をかう二人目・・・。そんな二人に動揺して支離滅裂になってしまった私・・・。
「彼、親戚のおじさんに、“なんだ年上女房だったのか〜。尻に敷かれるなよ〜”って言われてたよー」と彼女はあとからこぼしていた。いやいやおじさん、彼は喜んで敷かれちゃってますって。年下の彼は、どこでも一緒についてきて、なんでも一緒にやりたがるらしい。一人暮らしが長く、自由にやってきた彼女にとって、さぞやうっとおしいと思いきや、どうも新鮮な感覚らしく、居心地がいいようなのだ。
先日、お祝いを贈ろうと、新生活で何か欲しいものはあるかたずねた。
「彼が、ペアのエプロンがいいんだって」。
私たちはラルフローレンでエプロンを選びながら口をとがらせて言った。「ありえないよね〜。一緒に料理なんてさ。」「うん、でもそういうのも楽しいかもね・・・」「ちょっとうらやましい」。
年を重ねるのも悪くない。人生、思いがけないサプライズが待っているかもしれないと、希望の光をみた親友の結婚であった。
(浦沢)

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